高配当株は不利!?それ、本当ですか!? ~無配株 vs 配当株(税金面から比較)~

2022年8月21日

高配当株投資について「配当・分配金が課税されるから税制面で不利」「複利効果が落ちるから資産形成期に買ってはいけない」など、否定的な意見を目にすることは比較的多くあります。個人的には「課税分は確かに複利効果は減弱するものの、それをもって高配当株投資を否定するほどのインパクトはない」と考えています。

悲しいですが、高配当株に限らず「利益」には必ず課税されるのが世の常。

配当・分配金が課税されるのはそれが確定した「利益」であるからに他なりません。では無分配のファンドなどを購入した時は課税されないのでしょうか?そんな訳はありませんよね。利益を先送り(課税の繰り延べ)をしているだけですから、その分は売却時にキッチリと課税されます。

よく配当・分配金の有り無しで比較して「20年後、こんなにも差があります!」というのを見かけますが、多くの場合、なぜか売却時の税金を考慮していないのです。「配当あり」だけ課税の影響を反映した比較はどう考えてもフェアじゃありません。この売却時の税金も考慮して比較した方が適切ではないかと思うわけです。

以前、ツイートしたことがありましたが、シンプルな比較をしてみました。

【仮定】
・1,000万円を一括投資(株価1000円の株を10000株購入)
毎年5%株価が上昇する無配株株価は不変で配当利回り5%の配当株を比較
・配当は税引き後再投資
・税率は20%と仮定
・20年後に全部売却する

【結果】
・無配株 22,215,052円(譲渡益税 3,053,900円、配当課税 0円)
・配当株 21,911,232円(配当課税総額 2,977,807円、譲渡益税 0円)

20年経過後の評価額では400万以上の差が生じています!課税を先送りし複利を最大限活用した結果ですが、よくみかける比較はここまでが多い気がするのです。

ただ、売却してみるとその差は30万ほどの差に縮まります・・・・当たり前ですよね、無配株は課税を先送りしているわけですから売却時はガッツリ取られます。一切売らずに含み益たっぷりの評価額を眺めて楽しむために投資している方以外はいつかは売却して使うわけですよね。使うことろまで(売却も)セットで考えたいと思うのですが、いかがでしょうか?

これを見て「30万は大きい!やっぱり配当株は効率悪い!」と思う方もいると思いますし、課税を先送りした分の複利の増大効果は当然あるわけですが、私は20年でその差ならあまり気にしなくていいんじゃない?と思っています。この辺りの感覚は人それぞれじゃないでしょうか?

また、日本株では配当控除制度がありますし、損益通算を上手に利用することで配当課税のデメリットを軽減する手段もあります。さらに、今後は金融課税強化の流れから株式の利益も増税される可能性が高いと思っています。課税を先送りするリスクというのも一応意識しておいた方がいいのではないでしょうか。

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Posted by shin40